有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

  1. TCFDに基づいた気候変動についてのリスク
    脱炭素社会に向けた取り組みが世界的に喫緊な課題とされております。気候変動により種々の影響がおよぶ可能性があり、当社グループでは2021年12月に「ブルドックソースグループSDGs宣言」を制定し、2022年11月にTCFDに賛同し、TCFDコンソーシアムに加入しました。TCFDに基づいた気候変動リスク関しては、下表の通りです。
      気候変動
    シナリオ
    リスク種類 当社に影響を及ぼす具体的リスクおよび機会 財務インパクト
    移行リスク 低炭素経済への移行に関するリスク 政策・
    法規制等リスク
    政策・法リスク ①炭素税の導入 原材料価格上昇
    ②再生エネルギー使用への規制 新設備導入による減価償却費の増加等
    ③石油系プラスチックの規制 生分解性プラスチック等の導入による包材価格の上昇
    ④原油使用の増税・規制 原油価格の上昇
    技術リスク 技術リスク ⑤環境原材料への技術シフト 環境配慮型包材の導入による包材価格上昇
    市場リスク 市場リスク ⑥エシカル商品への消費行動変化 エシカル商品売上増加
    ⑦環境負荷商品の忌避 商品忌避による売上減少
    評判リスク 評判リスク ⑧TCFD対応遅延による評判低下 株価下落
    物理的リスク 気候変動による物理的変化に関するリスク 急性リスク 急性 ⑨台風・暴風などによる工場被災 主力商品の生産停止
    ⑩農地被災による原料供給不足 主力商品の生産停止
    慢性リスク 慢性 ⑪気候変動による原料供給不足 主力商品の生産停止

     
  2. 原材料調達についてのリスク
    主力商品であるソースは野菜果実、香辛料などを主要原材料としており、世界各国から原材料を調達しております。ウクライナ戦争や円安による原材料の高騰、原油および水道光熱費などのエネルギー費の上昇は、当社原材料調達に影響を及ぼしております。原材料の高騰を受け、2022年6月と2023年2月に一部商品の価格改定を行いました。
    また、原材料については国際的な需要の拡大による調達競争の激化、地球温暖化に伴う気候変動による原料供給不足、市況変動による原材料価格の高騰、環境規制強化によるプラスチック包材の使用減少など様々なリスクが存在し、商品の品質や価格などに影響することが予想され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは国際情勢・市況情報など原材料調達に係る情報を常に把握し、変化に素早く対応できる体制を構築し、原材料の産地や調達先を分散化することで安定的に調達できるよう供給体制の強化に努めてまいります。
     
  3. 商品品質についてのリスク
    当社グループは「幸福感を味わえる商品の提供」を経営理念とし、お客様やご家族のすべての方が元気に暮らせるために品質を第一に「安全・安心・信頼」できる商品、新しい価値を創出しほっとするおいしさと今までにない楽しさを提供する企業をめざしております。近年は食品の安全性や健康に対するお客様の関心も高く、健康被害に及ぶ商品の欠陥(異物混入・ラベル等の表示違い・アレルギー物質混入など)が発生した場合、また商品に欠陥がなくてもSNS等の風評により商品のブランド価値や企業イメージが毀損する可能性があり、その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは食品安全システム(FSSC22000)の管理手法を取り入れたグループの品質管理体制の拡充、食品安全方針の策定、トレーサビリティ管理の徹底を推進し、またWEBサイトや商品パッケージを通じてのお客様とのコミュニケーションを図り、適時情報開示を実施し、お客様が将来にわたり、安心して当社グループ商品を使っていただけるよう食品安全を最優先に企業活動に取り組んでまいります。
     
  4. 人財確保と育成についてのリスク
    当社グループは、人財を「資本」として捉え、時代の変化に応じて新しい価値を創出できる人財を育成し企業価値の最大化を目指しております。グローバルな環境で活躍できる人財及びDX、海外、マーケティング機能の強化のための人財を採用し、環境変化に対応する人財の育成と多様な働き方に対応する組織づくりを行ってまいります。
    今後、労働人口が減少し、会社の期待する人財を採用し育成してゆくことが難しくなるリスクがあります。機械化やDXの活用で対応していきますが、特に地方都市での採用が困難になり生産に支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
     
  5. 災害・事故・パンデミックについてのリスク
    当社グループは製造拠点、事業所を各地に有しており、自然災害による生産設備の重大な被害、工場の操業停止、生産能力低下や設備の毀損、サプライチェーンの寸断による原材料の供給不能などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。大規模な地震や台風等の自然災害、また、火災や事故などの緊急事態に備え、危機管理規程の制定、危機管理委員会によるBCP・リスクマネジメント計画の整備及び定期的な見直しを実施しております。当社グループは、緊急時においてもお客様へ商品を安定的にお届けすることを優先し、環境の変化に柔軟に対応し、安定して商品を提供していけるよう努めてまいります。今後も新型コロナウイルスや鳥インフルエンザなどの感染症のパンデミックリスクは市場動向やライフスタイルに変化をもたらす可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
     
  6. ビジネスモデルの変革についてのリスク
    デジタル技術を含む急速な技術革新や社会構造の変化、消費者の価値観・ライフスタイルの変化、新規企業の参入や競合の台頭、法的規制などの様々な外部環境の加速度的な変化への対応が遅れた場合、商品価値の毀損、ブランド価値の低下につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではマーケティング力を強化し、従来のビジネスモデルにこだわらないITを活用した新しい売り方への挑戦、当社グループならではの付加価値を加えた商品開発の推進、「ファンづくり」のための広報・プロモーションの運営、SNS等を活用した消費者向けプロモーションの展開などに取り組んでまいります。また、生産・調達・物流部門においてはDX化による生産性向上を推進しております。
     
  7. 情報システムについてのリスク
    当社グループは多くの業務をコンピューターで処理・管理をしております。近年サイバー攻撃は高度化し一層巧妙となってきており、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、重要なシステムの障害や機密情報の流出が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。情報システムの運用にあたり、コンピューターウイルス対策や情報管理の徹底、基幹業務システムのデータセンターへの委託、ファイアウォールの設置、「情報管理規程」「情報セキュリティ基本方針」「情報システム管理規程」「システム開発管理規程」「情報システム外部委託管理規程」の制定を行い、セキュリティ体制を強化しております。
     
  8. コンプライアンス・訴訟についてのリスク
    当社グループは「コーポレート・ガバナンス方針」を策定し、企業価値の向上に努めておりますが、役員や社員によるコンプライアンス違反や不祥事、訴訟の提起、輸出先国や事業展開国における法律違反などが発生した場合、社会的評価や企業価値・イメージの低下によりお客様の信頼を失い、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。コーポレート・ガバナンスをさらに強化するため2022年4月にガバナンス室を設けコーポレートガバナンスコードに対応した業務、体制作りを遂行しております。環境変化に即応出来るよう執行役員制度を導入するとともに「危機管理委員会」「安全衛生委員会」「内部統制監査委員会」「食品安全推進委員会」を設置しております。また、取締役会は透明性の高い経営の確保のため、監査等委員である取締役を含め、取締役6名のうち3名が独立社外取締役で構成されております。2021年12月に役員の指名、報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性を確保するために「指名報酬委員会」を設置しております。